お知らせ
2024/06/04
☆制震設計事務所のつぶやき – 耐震とは?免震とは?制震とは?
大地震の揺れから建物を守る工法として、大きく分けると「耐震」「免震」「制震」の
3つの工法に分類することが出来ます。
耐震工法は筋交いや、構造用合板を入れるなどして、固めることにより建物全体の強度
は高めていますが、地震の揺れや衝撃が直接建物に伝わるため、構造躯体に大きな負担
がかかってしまいます。
その結果、繰り返しの地震では建物の損傷を防止できず、倒壊する可能性も出てきます。
現在の新築住宅は、全て耐震住宅といっても差し支えありません。
そのため、免震工法は「耐震工法+免震工法」、制震工法は「耐震工法+制震工法」で
建築されることになります。
この中で、最も地震に対して安全性が高いのは「免震工法」です。
免震工法は、基礎部分に「鉄球」や「積層ゴム」などを入れて、基礎と建物を切り離して
地盤の揺れを建物に伝えないようにします。
しかし、免震工法には以下のようなデメリットがあります。
・狭い敷地をフルに活用することはできません。
地震時には地盤と建物が別の動きをします。そのため、建物周囲にある程度の空間を残す
必要があります。
・建築費が高くつきます。(木造住宅の場合、300~600 万円程度)
免震装置以外にも、水道管等、建物内外をつなぐ設備には費用が余分に必要となります。
・地盤面から1階床の高さが、耐震住宅、制震住宅よりたくさん必要です。
基礎~建物間に免震装置を組み込みますので、どうしても1階床が高くなりがちです。
・車いす配慮のスロープ、ビルトインガレージ等の設計はかなり難しくなります。
地盤と建物が別に動きますので、建物内外を結び付けるような設計は難しくなります。
・台風時には建物が揺れるかもしれません。
地盤と建物の縁が切れていますので、強風時には建物が揺れる可能性があります。
そのため、台風時には建物を固定する装置がついています。
しかし、建物を固定した時に地震が起これば、地震による揺れを建物に伝えてしまい
免震装置が機能しなくなり、被害が発生する可能性があります。
このように「免震工法」はオールマイティーではありません。
しかし、条件をクリアできれば地震時に「家具の転倒」も少なく、安全性は非常に高い
工法です。
一方「制震工法」は、言葉通り「地震を制限する」工法ですので、地震による振動を
制震装置が吸収し、建物の変形を小さくする効果があります。
「地震時の建物損傷を少なくすることができる」ことが、大きなメリットです。
制震装置が建物の揺れ(振動エネルギー)を吸収するので、建物全体ではほとんど損傷
しないのが特徴です。
家具の転倒に関しては、転倒防止金具などを用いることで、ほぼ免震住宅と同じ程度
の被害までに押さえることが出来ます。
また、「免震工法」の様な地盤におけるいろいろな条件もありません。
値段的にも免震工法の1/10~1/3程度で、ハウスメーカーや各工務店様が提案されて
います。
では、どの工法を選ぶのか?
「耐震工法」なのか?「免震工法」なのか?「制震工法」なのか?
「免震工法」は、他の2者と同じ値段ではとても出来ませんが、仮に性能表示制度
「耐震等級」の「等級3を満足する耐震工法」と「等級1を満足する制震工法」が
同価格ならば、私は「等級1を満足する制震工法」を選びます。
皆様はどちらでしょうか?
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