お知らせ
2024/06/04
☆制震設計事務所のつぶやき – 伝統構法と制震
ここ近年、古い木造住宅は地震に弱いと考えられてきましたが、2007年7月の新潟県中越沖
地震などで、「伝統構法」は地震に強いことが確認されました。
京都大学防災研究所の鈴木教授らのグループが、被災地で現地調査をした結果、築105年の
木造民家の被害は土壁に亀裂が入り、漆喰がはがれた程度で修復可能だったそうです。
鈴木教授は「伝統構法の建物を耐震補強するときは、現在の補強方法でせず、柔らかくしな
る伝統構法の良さを損なわない配慮が必要」と提言しています。(2007年8月毎日新聞より
一部転載)
その工法の持ち味を考慮せずに増築や耐震補強をすれば、逆に地震に弱い建物になるという
ことが分かったそうです。
①在来工法と伝統工法の違い
■在来軸組み工法特徴
昭和25年以降の木造住宅に使われている工法。
鉄筋コンクリートの基礎を造り土台を乗せ土台と基礎はボルトで固定する。
筋違いまたは合板の壁が入る。
接合部は金物で補強する。
地震には筋違いと金物で対抗する。
-剛構造-
②在来工法と伝統工法の違い
■伝統木構造の特徴
戦前の木造建築の一般的な工法。
柱と水平は仕口、継手により接合される。
壁には貫が入るが筋違いは入らない。
元来礎石を置きその上に建物を乗せる。 地盤に緊結しない。
地震には揺れながらエネルギーを吸収する。
-柔構造-
以上のような特徴があります。
木造の耐震改修と言っても、一般耐震診断法から見る耐震補強設計に、全てが当てはまると
は一概に言えません。
ある一定の理論はあっても、工法によっても施工方法によっても判断基準が違います。
しかも、これらはすべて設計者によって依存され、同じ建物であっても違う設計者が診断を
行った場合は、改修計画が異なります。
特に伝統構法からなる木組みの架構設計された住宅を、応力度設計を行わずに無理やり構造
用合反だけを貼り付ける「耐震」設計を行う事は間違いです。
大きな応力が架かる構造体に真っ向から対抗する「耐震」設計だけでぶつけるのは、あまり
にも構造設計の概念が無いように思えます。
運動エネルギーは、そのままであっても、何らかの熱エネルギー等に変換されても、最終的
には地盤や何かに吸収されない以外は拠り所がなく、逃げ場を失うエネルギーの反発が結果
的に大きな損傷を招きかねません。
鉛直荷重による直下率診断に伴う架構設計に基づいた許容応力度設計に加えて、水平荷重に
よる耐震診断および耐震設計が必要となります。
( 鉛直衝撃荷重が建物の柱に及ぼす応力の緩和に関する研究 – 山本 嘉孝・小林 加奈 氏より一部転載 )
そして、「鉛直衝撃荷重が建物の柱に及ぼす応力を緩和するには、複数枚のバネを活用し柱に
架かる運動エネルギーが作用する力を時間差で分散させます。それにより、柱に架かる応力を
減少させることが可能となります。」
むしろ、柔らかくしなる伝統構法ならば限界耐力計算法を用いて、減衰効果を取り入れた制震
設計をお勧め致します。
アバン設計で提唱している制震装置 BOSHIN(ボウシン)は、弓なりで形状の違う三枚の板バネ
を使用することにより、柱にかかる水平衝撃荷重、鉛直衝撃荷重はもちろん、あらゆる角度か
らの衝撃荷重を柔らかく吸収することが出来ます。
そして、ボウシンの形状記憶作用から、倒れようとする力は元に戻ろうとする「復元力」とな
り、地震による揺れを相殺し、建物全体の揺れを低減させることが出来るのです。
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