お知らせ

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – アーチ構造は地震に強い

人間は体重を2本の足で支える為に自然の原理を使っています。この自然の原理とは、アーチ状

が物を支えているものとして、いかに一番適しているかという事がいえます。

人間の自然の成り立ちにも実は活かされているのです。足は、体重を支えるのにアーチを持って

いたのでした。

足裏において知らなければいけないアーチが3つ。それは内側縦のアーチ(土踏まず)と外側縦

のアーチです。

3番目は自然に人間が立っている時、指はやや曲がってアーチを描いている、横のアーチに当た

ります。

これら縦横の“アーチ構造”は、地面に足が接地し荷重が加わった際に地面からの衝撃を吸収し、

足や足関節、さらには膝関節、腰などへの負担を軽減するクッションの役割をしています。



なぜ、トンネルは半円(アーチ構造)の形をしているのか、橋も半円(アーチ構造)の形になってい

るのでしょうか。

それはどの方向からの重みに対しても柔軟に対処でき、力を分散できるからです。

平らな橋は、一カ所に体重がかかると壊れ易くなってしまうのです。トンネルも長い年月、山の

重みを耐えうるにはアーチ型が一番適しているのです。



制震装置BOSHIN(ボウシン) 2基を向かい併せに設置することによって、半円 (アーチ構造)とな

り、建物の大地震による衝撃荷重を軽減する重要なクッションの役割を担っているのです。

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – 標準層せん断力係数とは

許容応力度計算の耐震設計は「静的震度法」というが基本になっていて、静的というのは、

「その状態が変化せず続く」ということ。動的とは状態の変化に応じて設計することである。

これが「建物重量の何割かの重さが水平力」(地震力)として、作用するという考え方なので

ある。この割合を水平震度(k)という。



そもそも、地震とはエネルギーである。

エネルギーは、力 × 距離で表すことが出来る。

力を分解すると、質量 × 加速度になる。そして、力とは建物が受ける地震力のことであり、

質量とは建物の総重量であり、加速度は地震による揺れの加速度。

すなわち、応答加速度である。

建物の総重量 × 応答加速度



つまり、建物重量が大きければ水平力(地震力)が大きくなり、建物重量が小さければ水平力

(地震力)も小さくなるという考え方である。


発生した地震の最大加速度(a)の重力加速度(g)に対する比で表され、関東大震災(1923

年)の最大加速度が0.3 gだったと言われている(実際の計測記録はなく、当時の学者が決め

たそうだ)ので、そうするとk=0.3 ということになり、この極めて大きい地震に対して安全

に設計しようということになったのである。



P(地震力) = K(水平震度) × W(建物重量)

k(水平震度) = a(最大加速度)/ g(重力加速度)

k = a / g = 0.3g / g = 0.3



しかし、関東大震災級の地震はめったに起こらないので、比較的頻繁に起こるであろう地震を

関東大震災の3分の1と考えて、水平震度0.1 として設計することにしたのである。

これは後に0.2 に引き上げられることになり、現在では標準層せん断力係数と呼び標準的には

建物重量の2割の力が作用するということになったのである。



よく、耐震等級2や3の場合、構造計算書のどこを見れはよいのかという問合せがある。書き方

にもよるが、



●耐震等級2の場合は、1.25 倍

Co × 1.25 = 0.2 × 1.25 = 0.25

●耐震等級3の場合は、1.50 倍

Co × 1.50 = 0.2 × 1.50 = 0.30

と標準層せん断力係数を割増しているのである。



耐震等級2(1.25 倍)というのは、地震等の災害時に避難場所となる学校の校舎の設計基準と

同等で、耐震等級3 (1.50 倍)というのは、災害時に絶対に壊れてはいけない消防署の設計

基準と同じということである。

後から出来た品確法の耐震等級の係数をそれに合わせたということである。

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – 制震とN値

N値とは建築物における様々な用途・種類があるN値ですが、一般的な住宅に対して用いられ

るN値は、柱の引張り力(引抜力)を示す値です。



上記図のように、建物が強風や地震によって歪んだ際(→が歪ませる力)に、柱が↑方向に引っ

張る力を柱に作用する引抜力といいます。

N値とは本来、建築物の各部に作用する力は、総合的な構造計算によって求めなければいけま

せんが、柱に接続される壁の耐力とその接続状況によってN値を求めることにより、柱の引張

り力を簡易的に算定することが出来ます。



ちなみN値を力の単位に変換した場合、1N≒5.3(KN) (1KN≒98kg ※計算時は安全をみて

1KN=100kgとします。)



上記の図では、引張り力を受けた柱が土台より浮かび上がっています。

台風や大地震に遭遇し倒壊した住宅の多くは、壁が壊れ柱が抜けることにより倒壊します。

よって耐震住宅を造るには、住宅全体に強い壁を配置し、強い壁に相応しい柱の接合を行うこ

とが重要になってきます。

制震住宅は水平荷重外力を低減する装置が組み込まれている為、通常の耐震住宅より引抜力が

小さくなります。

(かんたん県築工房様より) http://kuronoloto.web.fc2.com/technique/nti01.html



更に制震効果により引抜力の低減を求めるならば、制震装置を使用する場合、躯体に歪みしろ

を作っておくことがポイントです。

例えば構造用合板と構造用合板の間に数mmの隙間を設け、揺れしろを作ることにより制震効

果を発揮します。



【数mmの隙間を設ける揺れしろ】

歪みしろ



こうすることで住宅に付けてある制震装置が、ショックアブソーバーとして最大限に効果を発揮

します。

制震の考え方は、装置などを利用して地震エネルギーを熱などに変換することです。

建物にある程度弛みがあり、変形することが前提なのです。

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – 木は鉄よりも強い

木の断面を拡大すると、沢山の細長い細胞が木の縦方向に壁を立てにしたような形でびっしり

並んでいます。

木が生きている間は、ここをパイプのようにして栄養分や水分を運んでいたのです。

この構造こそが、木材は横方向に比べて縦方向に強いという理由です。

縦方向の強度は横方向の3倍から20倍もあります。


杉は鉄よりも格段に軽く、比重で比べれば杉が0.40、鉄は7.86です。

重さあたりの強度で比べることを比強度と言いますが、同じ強度の家を作ろうとすると鉄骨造

やコンクリート造の重さは木造に比べて、かなり重くなってしまいコストアップにつながりま

す。


地震の振動エネルギーは建物の重力に比例するため、重い建物ほど大きく揺れます。

木材は鉄やコンクリートに比べて軽いので、同じ大きさの建物では木造の揺れが一番少ないの

です。

しかも、木材は曲げの力にも強いのです。同じ重さでの材料の強さを比較すると、圧縮に対す

る強さは鉄の約2.1倍、コンクリートの約9.5倍、引っ張りに対しての強さは鉄の約4.4倍、コ

ンクリートの225倍もあります。

鉄やコンクリートは、ある一定以上の曲げの力が加わると突然破壊しますが、木材は少々の曲

げの力が加わっても耐久性があり、また同じ状態に復元する力があります。

地震などの大きな力を受けたときも、ある程度変形しながら力を逃すという性能があるのです。



もう一つは、意外にも火災に強いことです。

木材は、表面が炭化すると内部まで燃焼しない性質があり、一定以上の断面を持つ太材は火災

に耐えることができます。

鉄やアルミニウムは加熱すると3~5分で強度が著しく低下しますが、木材は15分経っても

約60%の強度を維持します。

したがって、このような軽くて強い木材の特性を生かし耐震性能を十分に考慮して設計・施工

した木造住宅であれば、『地震にも火災にも強い住宅』といえるのです。

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – wallstatでBOSHINを活用しよう!

もし、あなたの家が阪神淡路大震災のような地震に遭遇したら、いったいどうなるのか映像で見

ることが出来るようになりました。

これまで不可能とされていた木造住宅の地震時の挙動を、数値解析と実験の積み重ねで様々な

地震動に対し、その倒壊のプロセスを目視することが出来るようになったのです。



このソフトはwallstatと呼ばれ、京都大学生存圏研究所・国立研究開発法人建築研究所・東京大

学院での研究成果をもとに中川貴文准教授によって開発されました。

最新のバージョンには制震装置の効果も反映することができ、弊社のBOSHINも対応建材として

正式に認証されました。

早速、築35年の木造2階建瓦葺き建物の現況と、阪神淡路大震災の地震動を入力してみました。

なんと振動開始2秒で1階部分が完全倒壊し、避難は絶望的でした。

そこで、1階部分の壁量が不足している部分に構造用合板片面 (壁倍率2.5倍) を補強して振動を

再開したところ、未補強の2階部分の壁が損傷したのです。



剛性が強すぎると地震力は、より弱いところに集中するのです。それを調整するためにBOSHIN

B-3 (壁倍率0.8相当 減衰定数0.2 1/60 rad 時) を構造用合板にかえて配置したところ損壊壁

(赤色で表示) が無くなり、地震動時間 (概ね25~30秒) を経ても倒壊にいたりませんでした。



あらためて、耐震補強は固めるだけでは駄目だということが実証されました。

BOSHINの減衰・復元・抵抗の三位一体の効果を効率的に活用し、建前だけではない真の実力

に確信を持ちましょう。



BOSHINの優位性を改めて確認


さて、BOSHINについてその特徴を説明します。

BOSHINはSUS304の板バネ3枚、4枚を各々円弧のRを違え、板バネ間にコイルバネを挟み、

通しボルトで形状を整えたものです。

これを柱と梁 (桁)、あるいは柱と土台の入り隅に1対単位でコーチボルトで装着します。



複数枚の板バネの役割



特性の違う複数枚のバネを組合わせると弾まないバネとなる。

BOSHINに糸を張り、矢をつがえて引き放した場合、矢は飛びません。

飛ばない矢 仕事=力×距離 (W = F ・S) ですから距離は0となり、仕事 (地震力)はBOSHIN

の中で熱エネルギーに転換したことになります。

板バネ同士の相克により、互いの力を相殺し合い共振を防ぐことに他なりません。



円弧形状の役割



肉食恐竜の顎関節の付け根にRがあることをご存じですか?

硬いものを噛みちぎる際、顎骨が受ける衝撃を吸収するために存在するのです。

身近なハサミやペンチの付け根部分に見かけることがありませんか?

トンネルが丸いのも、ガスタンクやビール缶が丸いのもみんな同じ理由です。

円弧 (R) は太古の昔から力の移動や分散に役立ってきたのです。




三位一体機能

BOSHINはこの複数枚の板バネを円弧状に加工し、組合わせることで減衰、復元、抵抗という

互いに相容れない機能を持つ次世代の制震装置となったのです。

その耐久性と機能は、貨物トラックのサスペンションで実証済でRの違う3枚の板バネの組合わ

せは、板バネ間の相克を生み出し、揺れ返しを抑制するショックアブソーバーの機能も併せ持つ

こととなりました。


形状の奇跡

多くの制震装置は粘弾性ゴムかオイル ダンパー タイプの物です。

いずれも、減衰効果はありますが形状を元に戻す復元機能はありません。

復元機能を持たない制震装置は変形を蓄積し、やがて倒壊危険変位によって自重倒壊に至るおそ

れがあります。

また、いずれも急速な揺れに対応しない (速度依存性) や、夏場や冬場では反応が違う (温度依存

性) のリスクを持っています。

BOSHINは履歴型板バネ構造であることから、そのような依存性はありません。

むしろ「形状の奇跡」といわれる素材と合理的組合わせによって成し得た機能です。

そのコストの安さと施工性、耐久性、靱性から木軸構法の不可欠な構成部分として、全国の工務

店様に高い評価を得ております。



安易な耐震補強は危険

BOSHINが評価されるのは、木軸構法に不可欠なバランスを損なわないところにあります。

耐震補強といえば国 ・自治体の補助もあることから、「壁を強くする」ことです。

しかし、昭和56年以前の建物はもちろん、平成12年以前の建物にはホールダウン金物の設置義

務がありませんでした。

したがって、壁だけの耐震補強は建物の剛性を増すことで、「強力な引き抜き力」を生み出し、

倒壊を促進する危険性を生み出したのです。

例えば、特定の壁量が不足する箇所に2.5倍壁を設けた場合、2tの地震力を受けたとすると

2t×3≒5~6tの引き抜き力が発生します。

ホールダウン金物の設置がなければ完全にOUTです。

BOSHINはB-3で0.8倍、B-4で0.9倍程度で靱性と力の向きの移動ですから、引き抜き力は

ほとんど起きません。

したがって、建物にとって大切な重芯 ・剛芯には影響を与えないのです。

BOSHINが制 ・耐震リフォームにとって、優等生であるかご理解できたでしょうか。



wallstatをマスターし、BOSHINの活用で新たな制 ・耐震儒要を喚起し、本物の耐震補強で住ま

い手の命と財産をを守りませんか。



株式会社アバン設計

開発者 伊藤 昌幸

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – ②卓越周期と住宅破壊の関係性

東京大学地震研究所の古村孝志教授による、「東日本大震災と阪神大震災の速度応答スペク

トルの比較」を見ると、周期1~1.5秒 (間延びしても2秒) の領域が黄色に塗られていて、

「木造家屋への影響大」とされている。つまり、この周期で共振するということなのか。



しかし、ほとんどの木造家屋や中低層建物は0.1~0.5秒の固有周期を持つことがわかって

おり、それよりも長い周期1~1.5秒 (間延びしても2秒)の地震動で甚大な建物被害が起きる

という現象を検証する。


固有周期0.1~0.5秒というのは弾性限界内での周期であり、弾性限界を超えて塑性変形

が起き始めると共振する振動の周期は長くなる。

したがって、木造家屋や中低層建物が共振して大被害を与える現象理由として、

大被害を与える一定範囲の周期⇒塑性化による固有周期⇒大被害を与える共振が考えられる。



建物の被害は、塑性化するときの等価周期で決まり、非線形モデルによるシミュレーション

や模型実験の結果によっても確かめられている。

そして、大被害を与える一定範囲の周期とは1~2秒の地震動であり、「キラーパルス」とい

う名称で報道されることがある。



周期が1~2秒の地震動は、たとえ一回の振動であっても加速度および速度の大きさにより、

建物の塑性化(変形して元に戻らない状態)を引き起こし大きな被害を与える。

建物が受ける荷重外力を計算すればそれはわかる。

仮に、周期が1~2秒の地震動と短周期の地震動が同加速度・同速度の場合、二つを比較す

れば、建物が受ける荷重外力は周期が1~2秒の地震動の方が遥かに大きいからである。



現在の耐震等級3相当の木造住宅だとしても、卓越周期2秒なら加速度・速度の大きさによっ

ては、はじめの片方向の段階(1秒単位)もしくは、1秒を超えた直後の逆方向段階で大きく破

壊(塑性化し周期が伸びる)する。

1回目の揺れ(卓越周期2秒)が完了しない段階で、「キラーパルス共振といきなり被害を受け

たとしたときの周期で応答」することになる。



【塑性=変形】であり、【塑性化の問題点=変形から回復しない】ということである。

そういう意味でボウシンの「真っ直ぐに戻す復元性」「構造材に粘りを付与して破壊を延命す

る」性能は、ボウシンを有効数設置した時点で塑性化の問題の大半を解決していると言える。

2024/06/07

☆制震設計事務所のつぶやき – ①卓越周期と住宅破壊の関係性

東日本大震災と阪神大震災の地震動を比較するため、それぞれの測定地点付近の被害も確認

してみた。測定地点は、宮城県のK‒NET 築館とJR西日本の鷹取駅構内である。

築館では震度7 で全壊率0%であるのに対して、鷹取では震度6強で全壊率60%に迫る程だ。

単純にマグニチュードや震度の大小では建物被害は比例しないということになる。



阪神大震災は、全半壊の住宅が合わせて約25 万棟という大きな建物被害を起こした。

死者6,432名のうちの約80%が住宅倒壊による圧死と言われている。

なぜ、これほど倒壊したのか。東日本大震災と阪神大震災の応答スペクトルを分析する。

揺れの特徴を見ると、2つの地震に大きな違いがあることがわかる。

東日本大震災では短い周期の強い揺れが長時間続いたのに対して、阪神大震災では比較的

周期の長い揺れが観測されている。



「国土技術政策総合研究所、K-NET 観測記録の応答スペクトル」から抽出

【東日本大震災=K-NET築館】 【阪神大震災=JR鷹取駅】
加速度応答スペクトル 加速度応答スペクトル
  周期0.2~0.3秒 3000ガル以上   周期0.2~0.3秒 2000~2500ガル
  周期1~1.5秒  300~500ガル 周期1~1.5秒  最高値2700ガル
速度応答スペクトル 速度応答スペクトル
  周期0.2~0.3秒 最高値480カイン   周期0.2~0.3秒 80~130カイン
  周期1~1.5秒  60~90カイン   周期1~1.5秒  最高値530カイン


地震では震度の他に最大ガルとカイン値が発表されるが、この値が震災被害の大きさを示し

ていないことは良くある。

それはK-NET築館の「周期0.2~0.3秒のガル・カイン値」は、阪神大震災JR鷹取駅より大き

いが、阪神大震災JR鷹取駅に比べK-NET築館の「周期1~1.5秒のガル・カイン値」は、共に

小さいことに着目することが必要である。

木造家屋や中低層建物が大被害を起こす地震動は、短周期の最大ガルとカイン値ではなく、

周期1~1.5秒のガル・カイン値の大きさに関係するということになる。



ということは、ほとんどの木造家屋や中低層建物は0.1~0.5秒の固有周期を持つことは既に

わかっているが…本来の固有周期では、共振をしないはずのそれよりも長い周期1~1.5秒の

地震動で、大きな建物被害が起きるというのは奇妙な現象に思える。



次回へ続く………。

2024/06/04

☆制震設計事務所のつぶやき – 伝統構法と制震

ここ近年、古い木造住宅は地震に弱いと考えられてきましたが、2007年7月の新潟県中越沖

地震などで、「伝統構法」は地震に強いことが確認されました。

京都大学防災研究所の鈴木教授らのグループが、被災地で現地調査をした結果、築105年の

木造民家の被害は土壁に亀裂が入り、漆喰がはがれた程度で修復可能だったそうです。

鈴木教授は「伝統構法の建物を耐震補強するときは、現在の補強方法でせず、柔らかくしな

る伝統構法の良さを損なわない配慮が必要」と提言しています。(2007年8月毎日新聞より

一部転載)

その工法の持ち味を考慮せずに増築や耐震補強をすれば、逆に地震に弱い建物になるという

ことが分かったそうです。

①在来工法と伝統工法の違い

■在来軸組み工法特徴

昭和25年以降の木造住宅に使われている工法。

鉄筋コンクリートの基礎を造り土台を乗せ土台と基礎はボルトで固定する。

筋違いまたは合板の壁が入る。

接合部は金物で補強する。

地震には筋違いと金物で対抗する。

-剛構造-

②在来工法と伝統工法の違い

■伝統木構造の特徴

戦前の木造建築の一般的な工法。

柱と水平は仕口、継手により接合される。

壁には貫が入るが筋違いは入らない。

元来礎石を置きその上に建物を乗せる。 地盤に緊結しない。

地震には揺れながらエネルギーを吸収する。

-柔構造-



以上のような特徴があります。



木造の耐震改修と言っても、一般耐震診断法から見る耐震補強設計に、全てが当てはまると

は一概に言えません。

ある一定の理論はあっても、工法によっても施工方法によっても判断基準が違います。

しかも、これらはすべて設計者によって依存され、同じ建物であっても違う設計者が診断を

行った場合は、改修計画が異なります。

特に伝統構法からなる木組みの架構設計された住宅を、応力度設計を行わずに無理やり構造

用合反だけを貼り付ける「耐震」設計を行う事は間違いです。

大きな応力が架かる構造体に真っ向から対抗する「耐震」設計だけでぶつけるのは、あまり

にも構造設計の概念が無いように思えます。

運動エネルギーは、そのままであっても、何らかの熱エネルギー等に変換されても、最終的

には地盤や何かに吸収されない以外は拠り所がなく、逃げ場を失うエネルギーの反発が結果

的に大きな損傷を招きかねません。

鉛直荷重による直下率診断に伴う架構設計に基づいた許容応力度設計に加えて、水平荷重に

よる耐震診断および耐震設計が必要となります。



( 鉛直衝撃荷重が建物の柱に及ぼす応力の緩和に関する研究 – 山本 嘉孝・小林 加奈 氏より一部転載 )

そして、「鉛直衝撃荷重が建物の柱に及ぼす応力を緩和するには、複数枚のバネを活用し柱に

架かる運動エネルギーが作用する力を時間差で分散させます。それにより、柱に架かる応力を

減少させることが可能となります。」



むしろ、柔らかくしなる伝統構法ならば限界耐力計算法を用いて、減衰効果を取り入れた制震

設計をお勧め致します。



アバン設計で提唱している制震装置 BOSHIN(ボウシン)は、弓なりで形状の違う三枚の板バネ

を使用することにより、柱にかかる水平衝撃荷重、鉛直衝撃荷重はもちろん、あらゆる角度か

らの衝撃荷重を柔らかく吸収することが出来ます。

そして、ボウシンの形状記憶作用から、倒れようとする力は元に戻ろうとする「復元力」とな

り、地震による揺れを相殺し、建物全体の揺れを低減させることが出来るのです。

2024/06/04

☆制震設計事務所のつぶやき – 耐震とは?免震とは?制震とは?

大地震の揺れから建物を守る工法として、大きく分けると「耐震」「免震」「制震」の

3つの工法に分類することが出来ます。



耐震工法は筋交いや、構造用合板を入れるなどして、固めることにより建物全体の強度

は高めていますが、地震の揺れや衝撃が直接建物に伝わるため、構造躯体に大きな負担

がかかってしまいます。

その結果、繰り返しの地震では建物の損傷を防止できず、倒壊する可能性も出てきます。

現在の新築住宅は、全て耐震住宅といっても差し支えありません。

そのため、免震工法は「耐震工法+免震工法」、制震工法は「耐震工法+制震工法」で

建築されることになります。



この中で、最も地震に対して安全性が高いのは「免震工法」です。

免震工法は、基礎部分に「鉄球」や「積層ゴム」などを入れて、基礎と建物を切り離して

地盤の揺れを建物に伝えないようにします。

しかし、免震工法には以下のようなデメリットがあります。



・狭い敷地をフルに活用することはできません。

地震時には地盤と建物が別の動きをします。そのため、建物周囲にある程度の空間を残す

必要があります。



・建築費が高くつきます。(木造住宅の場合、300~600 万円程度)

免震装置以外にも、水道管等、建物内外をつなぐ設備には費用が余分に必要となります。



・地盤面から1階床の高さが、耐震住宅、制震住宅よりたくさん必要です。

基礎~建物間に免震装置を組み込みますので、どうしても1階床が高くなりがちです。



・車いす配慮のスロープ、ビルトインガレージ等の設計はかなり難しくなります。

地盤と建物が別に動きますので、建物内外を結び付けるような設計は難しくなります。



・台風時には建物が揺れるかもしれません。

地盤と建物の縁が切れていますので、強風時には建物が揺れる可能性があります。

そのため、台風時には建物を固定する装置がついています。

しかし、建物を固定した時に地震が起これば、地震による揺れを建物に伝えてしまい

免震装置が機能しなくなり、被害が発生する可能性があります。



このように「免震工法」はオールマイティーではありません。

しかし、条件をクリアできれば地震時に「家具の転倒」も少なく、安全性は非常に高い

工法です。



一方「制震工法」は、言葉通り「地震を制限する」工法ですので、地震による振動を

制震装置が吸収し、建物の変形を小さくする効果があります。

「地震時の建物損傷を少なくすることができる」ことが、大きなメリットです。

制震装置が建物の揺れ(振動エネルギー)を吸収するので、建物全体ではほとんど損傷

しないのが特徴です。

家具の転倒に関しては、転倒防止金具などを用いることで、ほぼ免震住宅と同じ程度

の被害までに押さえることが出来ます。

また、「免震工法」の様な地盤におけるいろいろな条件もありません。

値段的にも免震工法の1/10~1/3程度で、ハウスメーカーや各工務店様が提案されて

います。



では、どの工法を選ぶのか?

「耐震工法」なのか?「免震工法」なのか?「制震工法」なのか?



「免震工法」は、他の2者と同じ値段ではとても出来ませんが、仮に性能表示制度

「耐震等級」の「等級3を満足する耐震工法」と「等級1を満足する制震工法」が

同価格ならば、私は「等級1を満足する制震工法」を選びます。



皆様はどちらでしょうか?

2024/06/04

☆制震設計事務所のつぶやき – 余震に強い家でなければ命は守れない


3月11日、東日本大震災。

震度7の本震に遭遇しても、その時点ではこれらの建物は倒壊していませんでした。

大震災から、1年後の3月11日までの有感地震回数は10,911回と気象庁が統計を取り始めた

昭和26年以降、最多だといわれています。

年間平均地震回数1,300回に対し、8.39倍もの地震が日本列島を揺らしたため、たった1年で

8年分を超える揺れを建物が経験したことになります。

その余震によって、上記の建物は倒壊したのです。



ここで注目しなければならないことは、3月11日以降、宮城県、福島県内でM5以上の余震が、

一ヶ月の間に400回を超えた事実です。

そして、本震から約一ヶ月後の 4月 7日の深夜、宮城県で震度6強の余震が発生し、多くの家

屋が倒壊しました。

福島県は、その 4日後の 4月11日に震度6に襲われ、大きな被害となったのです。



大地震の後は、その地域で中規模の余震が短期間に数百回も発生するため、どんなに剛性が強

い建物でも接合部が緩んで共振点が下がり、卓越周期1秒から2秒の大きな余震により建物が

共振して倒壊しやすくなるのです。



通常、建物が100mm 傾くと倒壊の危険があると言われています。

そのため現在の耐震住宅は、震度6強を超える強い地震を想定した場合、建物の変形を25mm

~ 30mm以内に収めるための目安を提示しています。

この基準に沿って多くの耐震実験が行われています。

ところが、30mm以内の変形に収めるのはなかなか難しいのが現実です。

更に、2度、3目の大地震を想定して実験を継続すると、30mmの傾きは80mm~130mmに

拡大します。

その変形を食い止めようとして、建物の壁倍率を大きくすればするほど引き抜き力も増大し、

度重なる余震では、建物の変形を食い止めることに限界が見えてきています。

揺れに耐える性能はもちろん大切ですが、想定外の揺れに襲われたとき、建物はその構造躯体

が変形することによって地震のエネルギーを吸収しようとします。

しかし、現在の耐震住宅は変形すれば耐力が落ち、引き抜きにより倒壊する危険性もあります。

本来、大地震から住まいを守るには、「構造躯体を粘り強くする」ことが何より大切なのです。



「地震大国」日本は今、地震活動期に入っていると言われており、いつどこで地震が起きても

不思議ではありません。

私たちはあの大震災を自分のこととして受け止め、教訓を得て行動していかなければならない

のです。

地域密着で活動する設計事務所だから、出来ることはたくさんあります。

地震から命を守るため、住宅の地震対策を一層推進することが我われに求められています。

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